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サッカーチームメンバーが遭難したチェンライの洞窟に隠された伝説

7月2日にサッカーチームの12人の少年とコーチがチェンライのTham Luang Nang Non洞くつの中で無事発見されました。

このタイ最大級の救助活動には地質学者や医師、日本からの灌漑専門家や中国からの救命士、オーストラリア、イギリスからの専門家も加わり、総勢1,000人を超える人々が救助活動に携わり、タイの王室からは救助費用や救援物資の寄付がありました。

実はこのTham Luang Nang Non洞くつには伝説が語り継がれていたのです。

語り継がれる「王女伝説」

仏教国であるタイでは、人間と洞くつは切っても切れない関係です。そのため、洞くつには不思議な力があると信じられています。修行僧の鍛錬の中には、洞くつ内で瞑想をして不思議な力を高める修行も存在します。こういった修行に使われる洞くつ内には、仏様への奉納物や、その仏様に従事した方への奉納物を見ることが出来ます。

 

Tham Luang Nang Non洞くつも例外ではなく、この洞くつは「寄りかかる王女の大きな洞くつ」と言われており、Chiang Rungの昔の王女の魂が宿る洞くつと信じられています。

語り継がれている神話の中では、王女が平民である男性を好きになってしまい、それを許さなかった国王から逃げるために洞くつへ隠れる話があります。その神話では、男性が食料を取りに行った時に、王の兵士がその男性を殺してしまうシーンがあります。洞くつ内で男性の帰りを待っていた王女は、男性が戻ってこない意味を理解して自害してしまいます。

そして、王女の血はMae Nam Mae Sai川となり、彼女の体はDoi Nang Non山になりました。 

それ以降、王女はこのTham Luang Nang Non洞くつの守り神となっており、洞くつを訪れる人は、洞くつに入る前に王女にお祈りを捧げなければいけません。もし、お祈りを捧げずに洞くつ内に入ってしまえば、洪水により命の保証はできないと言い伝えられています。

この神話には、王国に従わない者に対する戒めなどの政治的意味合いも持っています。また、この地域が何かしらの不思議な力のある地域だということも物語っています。

もしかして今回の遭難事故は、洞くつの王女の魂が、現在の首都のバンコクに人々が集まる中で、もう少し自分に目を向けて欲しいと思って起きた事故かもしれません。

仏教における救助活動

この洞くつが、神聖な洞くつとして祀られている以上、無理な救助活動は出来ませんでした。しかし、勇敢な救助隊の活躍があり、軍部は「洞くつの王女」の魂との戦いと位置づけて救助を続けました。

タイ当局は、「寄りかかる王女の大きな洞くつ」を迷信として救助活動を行い、この救助活動は、仏教的価値観と英雄的価値観の戦いであったとも言われます。

これは何世紀にわたり、バンコク周辺での道徳的価値観が植え付けられたことを物語っています。少年たちが無事に救助されたことにより、この道徳的価値観が仏教的価値観を上回ったことになったのかもしれません。